留学生の1日
システム創成学専攻
鳥海研究室修士1年
菊田 俊平
システム創成学専攻 鳥海研究室修士1年 菊田 俊平
留学先:スウェーデン王立工科大学(KTH)
1日の過ごし方
7時:起床
寮がラボから徒歩1分のところにあったこともあり,早寝早起きの習慣が身につきました.洗濯や英語の勉強をしてからラボに向かいます.
9時:ラボイン
ラボメンバーは10時ラボインのため,1時間は1人です.無料でもらえるコーヒーやフルーツを食しつつ,1日のタスクを整理し,ディスカッション準備などを行っておりました.
10時:ラボメンバーのラボイン
10時になるとPh.D.のメンバーがラボインするため自分も研究開始です.向こうの研究室に修士の人はいないため,私以外全員がPh.D.です.Ph.D.は大学と雇用契約を結んでいるため,必ず時間通りにラボインします.
ラボインしてしばらくすると,一緒に研究をしていたPh.D.と進捗確認やディスカッションをしておりました.Ph.D.になると,スウェーデン以外から来る人が(おそらく)半分を越えるため,英語でディスカッションを行うため安心です.
12時:ランチ
12時になると,みんな一斉にいなくなります.ラボの人や他のGMEのメンバーと外食をすることもありましたが,基本的に節約のため,家に帰って食べておりました.
ランゲージカフェというものがあり,毎週月曜日は日本語だったので,そちらにも参加しておりました.スウェーデン人が多いですが,中国人やドイツ人などもいました.語学専攻というわけではないのに,びっくりするくらい日本語が上手な人が多く,感心してしまいました.アニメや漫画が好きな人が多く,日本人より詳しい人もいます.1980年代のアニメを熱弁されることもありました(笑)
13時30分:ラボイン
ご飯を食べて少しゆっくりすると,再び研究です.無料で食べられるクッキーやフルーツを食べながら,コーディングに取り掛かります.
19時:帰宅
Ph.D.は10時から19時の雇用契約をしており,基本的に19時に全員帰宅します.その時間に合わせ自分も帰宅しておりました.たっぷり時間があるので,基本的に自炊しておりました.ただ,日本にある調味料が手に入らないことがあり,美味しくなかったり,牛乳だと思って買ったものがヨーグルトだったりで,散々になることもありました(笑)
スウェーデンでは,ほとんど全ての人が英語がペラペラなため,スーパーや薬局でも尋ねればなんでも教えてくれるので非常に助かります.
ランゲージカフェや授業でできた友人,GMEの友人と外食やパブに出かけることもありました.
23時:就寝
英語力向上のため,YOUTUBEやオンライン英会話で英語の勉強をしてから就寝しておりました.
YOUTUBEで海外のテレビ番組を見て,楽しみながら英語を学んでおりました.
休日の過ごし方
週末は基本的に観光に出かけておりました.ストックホルムに加え,ボストン,ロンドン,ダブリン,デゥッセルドルフ,ヘルシンキ,イスタンブルに観光に行きました.週末は基本的に時間がありますし,平日も事前に教授,同僚に声をかけておけば,休みをもらうことができます.ヨーロッパの各国間の移動はLCCでなくても非常に安いです.LCCで移動すれば,往復1万円ほどで移動ができます.
また国際学生証を発行しておくと,ほとんど全ての場所で学割が使えるため渡航前に発行しておくことをお勧めします.
参加動機
私がGMEプログラムに参加した理由としては大きく2つあります.
1つ目は,様々な価値観を持った人と関わり学び,自分のできることの幅を広げるためです.英語を身につけ,異なる国の人ともコミュニケーションをとることで自分の当たり前を広げたい気持ちがありました.
2つ目は,自分の研究領域に対して異なる角度から学びたかったためです.普段は機械学習を用いた応用研究を行なっておりますが,より基礎的な研究にも非常に興味を持っておりました.
実際これらの目的は達成できたと思っております.主にインド人の教授とイラン人のPh.D.にお世話になりましたが,関わる中でお互いに主張するものの,お互いの意見を尊重することの大切さを学びました.他にも,学生の勉強への熱意や,やりたいことを重視する姿勢など良い部分の影響を受けたと思っております.また,論文の共著者として研究に携わることができ,密度の濃い研究生活を過ごすことができました.
振り返って
GMEプログラムを通じて得られたこととして,大きなものは2つです.
1つ目は,英語に対する意識です.
ディスカッション中に,これなんて言えばいいんだ?とか,言いたいことがうまく伝わらなくて,もどかしいことが多くあり,苦しんだことはありました.
英語力が伸びたか?と聞かれたら,間違いなく伸びたと答えますが,それ以上に大きいのは,英語に対する気持ちが変わったという点です.スウェーデンにはヨーロッパをはじめ,アジアでも様々な国から留学に来ており,はっきりいってみんな英語がペラペラです.ただ,そのような学生と話していて思ったのは,国独自のアクセントを持っており,完璧な発音をする人はほとんどいないこと,文法ミスをしない人などいないということ,誰も自分のミスを気にしている人などいない,伝わればOKということです.自分は日本人なのだから,日本語の訛りを持っていて当然だし,間違えるのは当たり前,そう考えるだけで一気にコミュニケーションが取れるようになりました.このように考えられるようになったのが英語に関して一番の成長だと思っております.
2つ目は,ディスカッションの大切さです.
ディスカッションでは,各々が考えていることを全力で相手にぶつけます.教授相手だからとか相手がどうとか考えて話しているPh.D.はいません.ディスカッション時に自分の考えと,その理由をはっきり主張しているPh.D.の姿が印象的でした.私が,Ph.D.にこの論文の手法は誰が思いついたのか?尋ねた時に,Ph.D.の学生が,この部分は教授で,この部分は自分.議論している際に,組み合わせればより良いものが生まれることに気がついたと話しており,この時も壮絶な議論があったのだろうと考えました.素晴らしいアイディアや,手法はこうやって生まれるのだなと,議論の大切さを再確認しました.
3ヶ月という短い期間でしたが,一生忘れない教訓や経験が得られました.自分は東大生の平均レベルの英語力で,英語に対する得意意識は全くなかったですし,大学院で研究室が変わったので専門性もありませんでしたが,今やりたいことをとにかくやりたいと思い,留学に飛び込むことにしました.結果としては,論文の共著者にもなりましたし,教授にも今までのインターンシップの中で一番貢献してくれたと嬉しい言葉もいただきました.
もちろん成果を出すこと,コミットメントすることは大切ですが,結果ばかり考えすぎるとプレッシャーがかかると思うので,「まあ修士だし,Ph.D.より知識がなくて当然」くらい余裕を持ちつつ,自分がやりたいことを全力で取り組むのが一番かと思います.
挑戦したいと考えてはいるものの,自分の英語力・研究力で大丈夫だろうか?と考えて躊躇いるのであれば,全力で私はお勧めします!
システム創成学専攻 鳥海研究室修士1年 菊田 俊平
留学生の1日
2022年度
-> 精密工学専攻 伊藤高松研究室修士2年 水谷 あやな
-> 機械工学専攻 ムテルドゥ研究室修士1年 谷内田 大貴
-> システム創成学専攻 川畑研究室修士1年 諸星 璃月
2021年度
-> システム創成学専攻 髙橋研究室修⼠課程1年 森島 拓⽣
2018年度
-> システム創成学専攻 鳥海研究室修士1年 菊田 俊平
-> 機械工学専攻 高木・杵淵研究室修士2年 堀 直樹
-> 精密工学専攻 梅田研究室修士2年 岡田 有希
-> 機械工学専攻 山中研究室修士1年 樗木 浩平
2017年度
-> システム創成学専攻 村山研究室修士1年 木村 圭佑
-> 精密機械工学専攻 金研究室修士1年 森下 靖久
-> 機械工学専攻 高木・杵淵研究室修士2年 中西 紘章
2016年度
-> 精密工学専攻 梶原研究室修士1年 菊池 章
-> システム創成学専攻 福井研究室修士1年 四方 裕
2015年度
-> 精密工学専攻 小谷研究室修士1年 加藤 直之
-> 機械工学専攻 塩見研究室修士1年 桐谷 絵美
2014年度
-> 機械工学専攻 塩見研究室修士2年 二田 智史
-> 精密工学専攻 藤井研究室修士2年 松本 倫実
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