グローバル機械工学人材交流プログラム

留学生の1日

精密工学専攻
伊藤高松研究室修士2年
水谷 あやな

精密工学専攻 伊藤高松研究室修士2年 水谷 あやな
留学先:スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)

私はG M Eプログラムを通じてスイスのE P F Lに6ヶ月間留学しました。この留学体験記は、今後留学する人の参考になればと思い、留学準備やE P F Lの研究室の様子、スイス現地での生活について書いたものです。

留学準備
・受け入れ先の研究室
E P F Lの特徴として、G M Eの面接を通った後に自分自身で派遣先の研究室と交渉する必要があります。ホームページで自分が興味のある研究室を複数調べ、教授にCV (履歴書)、現在の研究内容、その研究室に留学したい理由等をメールに書いて送りました。(返信が来ないこともありました。)そこからさらに希望する研究室の教授とzoomで面接をし、留学できることが決まりました。受け入れ先が決まった後も、テーマや留学後の計画についてメールやzoomでやり取りをしました。

・滞在許可の申請
渡航前に一番大変だったのは滞在許可の申請でした。スイスに90日以上滞在するために必要な滞在許可を申請する際、口座残高や奨学金の額を提示し、お金を十分に持っていることを証明する必要があります。ヌーシャテル州はヴォー州(ローザンヌのメインキャンパスの所在地)と違い、口座残高を提示する際、スイス国内の銀行の口座以外は認められず、手間がかかりました。(スイスは州ごとに滞在許可取得の条件が違うので要注意です。)スイス渡航後、9月頭に滞在許可証の申請をし仮の滞在許可証をもらいましたが、正式に滞在許可証を受け取ったのは1月に入ってからでした。

・住居
ラボの秘書の方に寮の候補を複数教えて頂き、順番に空き部屋があるかをメールで確認し、滞在先が決まりました。日本から滞在許可証を申請する際に渡航後の住所が必要なので、早めに探し始める必要があります。私が滞在したMySeyon27という寮は、家具付きで週1回清掃が入り、中心街にあり、大学と駅が徒歩圏内で、大変便利でした。地下一階にクラブがあり、夜はうるさかったですが・・・

E P F Lの研究室の様子
・キャンパス
E P F Lのメインキャンパスはローザンヌという街にありますが、私の留学先の研究室はヌーシャテルというローザンヌから鉄道で40分ほどの街にありました。4階建ての建物が一棟のみのこじんまりとしたキャンパスですが、実験装置やクリーンルームなどの施設は大変充実していました。

スイスの公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つで、ローザンヌとヌーシャテルはフランス語圏にあります。英語が通じないこともありますが、お店では英語ができる店員さんを呼んできてくれたり、手続きなどの電話はラボの秘書の方が代わりにかけてくれたりします。ラボには様々な国籍の方がいて、大学内の共通言語は英語です。ヌーシャテルは湖のほとりにあり、建物の壁が黄色でバターをくり抜いた街と言われ、とても素敵な街並みでした。

・研究室
日本の研究室と違い、研究室の15人のメンバーのうち半分が博士課程の学生、半分がポスドクやエンジニアの方で、学部や修士の学生が1人もいませんでした。その分周りの方が経験豊富で、様々なアドバイスをもらえ、とても刺激的な環境でした。東大の研究室でやっていたテーマとは違うテーマをやることになり、学びが多い日々でした。また、ポスドクの方と密接に研究し、研究の進め方などが非常に参考になりました。論文を共著で書く経験もさせて頂き、大変勉強になりました。ラボには積極的に意見を発信する人が多く、毎週のLab Seminarでは皆んな手を挙げて質問や意見がたくさん飛び交い、印象的でした。一年に取れる休暇の日数が決まっており土日に大学に来たらその分平日に休暇を取れたり、研究はwork、お互いのことはcolleagueと呼び合っていたりし、大学というより職場のようでした。スイスでは若い頃から科学への興味を持たせようとする意識が高く、近所の子供も聞きに来る一般向けの学会や、地元の高校で出張授業をするなど、他ではできない経験もしました。

・研究室の平均的な一日のスケジュール
7:30 起床
8:15 家を出る
8:30 ラボに到着。コーヒールームでラボのメンバーとコーヒーを飲みながら雑談を交わし1日をスタート。 9:00 研究開始。2-3週間に一回教授とミーティング。毎週水曜9:00にLab Seminarで1人が研究の進捗を発表。私は6ヶ月間の留学の間で3ヶ月目と最終週に2回発表しました。
11:30 混む前にカフェテリアにいき、ラボの人とお昼ご飯。カフェテリアのメニューは値段が高いので、お弁当を持ってくる人がほとんど。
12:00 2度目のコーヒータイム。研究に戻る前に気分転換。
12:30 午後の研究開始。
18:45 研究終了。オンオフがはっきりしていて、ラボにいる間の集中力が高く、遅い時間や週末には研究室に行かない人が多い。プライベートもとても大切にしていてアクティブで多趣味な人が多い印象を受けた。安全上、他のメンバーがいないときに研究室にいてはいけないということだったので、やり残したことは家に持ち帰ってやった。
18:50 19時にスーパーが閉まるので、その前に買い物。
19:15 帰宅

スイス現地での生活
・交通機関
一年間あらゆる交通機関のチケットが半額で購入できるdemi tarifを購入するのがおすすめです。留学期間が半年でも元を取れました。

・食事
スーパーは19時に閉まり、日曜日にはほとんど全てが閉まっており、コンビニなどがある日本と比べて大変不便に感じました。土曜日は町中でマルシェが開かれます。

また、物価が非常に高く、あらゆるものが自分が想像している2倍ほどの値段でした。大学にカフェテリアもありますが、こちらも値段が高いので、お弁当を作って大学に持ってくる人が多いです。物価は高いですが、治安は非常に良く、安心して暮らせました。スイスはチーズとチョコレートが有名で、よくチーズフォンデュを食べに行きました。

・余暇
スイスは山が多く、休みの日は夏はハイキング、冬はスキーに行く人が多いです。他にもスイス国内や近いフランスに旅行したり、ラボの人とボルダリングに行ったりしました。スイスのインターラーケン周辺に旅行に行った際のバッハアルプ湖の写真です。9月でも雪が多く残っていました。

最後に、留学の機会を与えて下さったG M Eプログラムの担当の先生方、関係者の方々に大変感謝しています。とても貴重な経験ができました。

精密工学専攻 伊藤高松研究室修士2年 水谷 あやな

留学生の1日
2022年度
-> 精密工学専攻 伊藤高松研究室修士2年 水谷 あやな
-> 機械工学専攻 ムテルドゥ研究室修士1年 谷内田 大貴
-> システム創成学専攻 川畑研究室修士1年 諸星 璃月

2021年度
-> システム創成学専攻 髙橋研究室修⼠課程1年 森島 拓⽣

2018年度
-> システム創成学専攻 鳥海研究室修士1年 菊田 俊平
-> 機械工学専攻 高木・杵淵研究室修士2年 堀 直樹
-> 精密工学専攻 梅田研究室修士2年 岡田 有希
-> 機械工学専攻 山中研究室修士1年 樗木 浩平

2017年度
-> システム創成学専攻 村山研究室修士1年 木村 圭佑
-> 精密機械工学専攻 金研究室修士1年 森下 靖久
-> 機械工学専攻 高木・杵淵研究室修士2年 中西 紘章

2016年度
-> 精密工学専攻 梶原研究室修士1年 菊池 章
-> システム創成学専攻 福井研究室修士1年 四方 裕

2015年度
-> 精密工学専攻 小谷研究室修士1年 加藤 直之
-> 機械工学専攻 塩見研究室修士1年 桐谷 絵美

2014年度
-> 機械工学専攻 塩見研究室修士2年 二田 智史
-> 精密工学専攻 藤井研究室修士2年 松本 倫実

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